愛知サマーセミナーの歴史
「学校の授業はなぜ『つまらない』んだろう?」
21年前、ひとりの社会科教師は考えていました。「教師は指導要領に縛られている。生徒は国が決めたひとつの枠の中で同じ学習内容をなぞっている。大人も子どもも、窮屈な学びを強いられている」「『学ぶ』ことは、本当は、もっともっと楽しいことなんだ。授業の枠からはみ出して教えたいことは山ほどある。『教えたいことだけを教えて、学びたいことだけを学ぶ』そんな学校ができたら…」。彼はその自問を、仲間の教員2人に打ち明けたのです。そうして、たった3人の若手教師の思いから、サマーセミナーという教育イベントが芽吹きました。初年度の講座数はわずか72。そして、現在1400以上。根底に流れ続ける「学ぶことは楽しい」という理念を持ち続けて、愛知の教育を変える大きなきっかけとなるムーブメントの波をつくってきました。
愛知サマーセミナー - 年表
年度 | 回 | 主な会場 | 講座数 | 参加数 | 校長 | この年の特色 |
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1988 | --- | 婦人会館 | 8 | 180 | --- | 『社会科セミナー』として開催 |
1989 | 1 | 市邨学園高校・中学校 | 72 | 4,411 | 寺内義和(実行委員長) | 多彩な講座 |
1990 | 2 | 名古屋大谷高校 | 123 | 6,798 | 江森陽弘(ジャーナリスト) | サマーセミナー方式となる |
1991 | 3 | 中京大学附属中京高校 | 135 | 5,099 | 佐々波秀彦 (国連地域開発センター所長) |
全国にも波及していく |
1992 | 4 | 同朋高校 | 260 | 10,626 | ジョームズ三木(脚本家) | 父母、市民の参加 |
1993 | 5 | 東邦高校 | 224 | 9,464 | 安斎郁郎(立命館大学教授) | 講座の質的深化。生徒講座増加 |
1994 | 6 | 淑徳高校・中学校 | 266 | 11,320 | 石川文洋(写真家) | 「授業の祭典」として定着 |
1995 | 7 | 高蔵高校・中学校 | 333 | 16,112 | 五木寛之(小説家) | 授業改革の牽引車として確立 |
1996 | 8 | 安城学園高校 | 406 | 16,239 | 河野美智子(産婦人科医) | 市民講座の倍増 |
1997 | 9 | 東海女子高校 | 571 | 20,460 | 日高敏隆 (滋賀県立大学学長) |
中学生参加。規模の飛躍的拡大 |
1998 | 10 | 桜丘高校・中学校 | 851 | 37,130 | 西澤潤一 (岩手県立大学学長) |
市民参加5,000人以上 |
1999 | 11 | 東邦高校 愛知淑徳高校・中学校 |
666 | 20,476 | 山田洋次(映画監督) | 2校で行われるツインキャンパス方式 |
2000 | 12 | 同朋高校 | 880 | 25,000 | 児玉隆夫 (大阪市立大学学長) |
「総合学習」の見本市 |
2001 | 13 | 椙山女学園高校・中学校・小学校・幼稚園 | 907 | 28,000 | 井上ひさし(作家) | 会場周辺地域と共同で開催 |
2002 | 14 | 市邨高校・中学校、東海高校・中学校 | 885 | 25,500 | 有森裕子(マラソンランナー) | 総合学習・土曜講座につながる |
2003 | 15 | 中京大学・中京大学附属中京高校 | 792 | 31,500 | 養老孟司(北里大学教授) | 大学の全面的協力 |
2004 | 16 | 愛知高校・中学校 | 1,074 | 38,500 | 浅井愼平(写真家) 東ちづる(女優) |
市民参加10,000人突破 |
2005 | 17 | 東海学園高校 | 1,013 | 35,000 | 小柴昌俊 (東京大学特別栄誉教) |
市民参加は史上最高。地域と繋るプレサマセミ |
2006 | 18 | 南山大学・南山短期大学・南山高校・中学校 | 1,019 | 36,500 | 中坊公平(弁護士) | 「高校生議会」企画など社会問題をテーマにする講座の増加。 |
2007 | 19 | 名経大高蔵高校・中学校、名古屋市立大学、名古屋市立瑞穂が丘中学、御劔小学校、雁道商店街 | 1,066 | 35,000 | 羽生善治(将棋棋士) | 市立大学、小中学校の会場貸与の実現。地域の商店街の夏祭りと一体に。 |
2008 | 20 | 愛知淑徳高校・中学校、名古屋市立東星中学、椙山女学園大学他 | 1,138 | 40,000 | 滝田栄(俳優) | 参加者が初めて、のべ4万人に到達。市民講座が最高の600講座超。 |
2009 | 21 | 同朋大学・名古屋音楽大学・名古屋造形大学・同朋高等学校、名古屋市立豊正中学校 | 1,329 | 43,000 | 小菅正夫 (旭山動物園名誉園長) |
生徒講座が300講座を超える。過去最高の1300講座を超える。 |
今後10年、サマーセミナーはより刺激的な「知の触発装置」として、また「壮大な実験の場」として、そして地域市民にとってなくてはならない「夢の学校」として、成長を遂げていくことでしょう。ひとりでも多くの大人や子どもに「学ぶことは楽しい」と伝え続けるために。